【カワイの独り言シリーズ】俺と兄とときどき稲川淳二


 今から10年ほど前私はオーストラリアでぷらぷら旅をしていたときだった。
 旅のお供にもっとも必要なものの一つに私は音楽がある。このシチュエーションだったらこれ聴きたい!!この景色だったらこれ聴きたい!!ってやつが誰にだってあるだろう、カセットやCD、MDなどの媒体を持っていきたいところだが旅をしているとやっぱりそれらはかさばる。そこで当時ちょうど流行ってきた『i pod』を奮発して買った。
 ituneに自分のアカウントを作ってお気に入りの音楽をipodに入れてさぁー旅に出かけよう。旅をしているときでも気に入った曲があればituneで購入して旅をしていた。があるとき曲が買えなくなった。原因は一番初めにituneのアカウントを作ったときに登録したクレジットカードの有効期限が切れたからだった。クレジットカードを更新すればいいのだがそれはアカウントを作ったカワイの実家のパソコンからでないとなぜか更新できなかった。そこで通信料は高いが他に手段がないので国際電話でオーストラリアから日本に電話して実家の兄に私のituneのアカウントのクレジットカードを再度登録してもらうことにしました。

 カワイ『久しぶり。急で悪いんだけど実家のパソコンにあるitune開いて俺のクレジットカード更新してくんない?いまから新しいクレジットカードの番号教えるから』

 兄『おっ久しぶり、いまどこにいるんだよ?とりあえずわかった。ところでitune開くのってダブルクリックでいいんだよな?

 兄よ、お前は本当に俺の2歳上の人類か?ダブルクリックってそこから教えなきゃだめか?っとパソコン講義から初めなんとか30分はかけてクレジットカードを更新できたもようである。

 兄『おっいま更新してる更新してる。あっ更新しましたってなった』

 カワイ『おーありがとう。一応試しに本当に買えるかどうかなんか曲買ってみて?』

 兄『おう。あいよ。いま買ったよ、おおおいまダウンロードしてるダウンロードしてる・・・・・あっ完了したってよ。』

 カワイ『よかったよかった。ありがとう、再生して聴けた?』

 兄『おう、聞けたよ、なんかあったらなんでも言えよ。』

 カワイ『ありがとう、助かったよ。ところでなんの曲買ったの?』

 兄『えっ稲川淳二の超怖い話。』

 カワイ『・・・・・・なに、それ?』

 兄『樹海と出口が見えないトンネルどっちかけてほしい?』

 カワイ『うるせーよ。曲買えっていったでしょ?なんで稲川淳二の怖い話なんか買うんだよ』

 兄『いいじゃん、オーストラリア人に怖い話してやれよ』

 カワイ『ふざけんよ。だだすべりするに決まってんだろ!!

 ・・・・っていう国際電話でやる決して意味をなさない建設的ではないただただ通信料が激高い兄弟喧嘩をして1ヶ月後のクレジットカードの請求の明細に

 稲川淳二の超怖い話 アルバム 3000円

 兄よ、なぜアルバムにしたんだよ。1曲100円で買える世界だぞituneって。人の金だと思ってなにしくさってんだよ。
 このままでは淳二に悔しいので一応翻訳して友達のオーストラリア人に怖い話をした。なにが悲しくて稲川淳二の『こわいなーこわいなー』を英語で『スケアリースケアリー』って訳さなあかんのや。結果はもちろんだだすべり、内容よりもだだすべりのほうのほうが怖かったよ。

 あれから10年、俺も大人になったもんだ。世界ぷらぷら旅人小僧からおかげさまでゲストハウスオーナーをさせてもらっている、随分歳をとったがあれから変わらないことが一つだけある。それは

 淳二は今も俺のituneで怖い話をする。

 カワイの中心で怖い話をさけぶ

 『こわいなーこわいなー』

 

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